高血圧治療について
高血圧は特別な症状が出ないことが多く、静かなる殺人者「サイレント・キラー」とも呼ばれ、自分の身体に異常を感じる頃にはかなり病状が進行しています。知らない間に血管や心臓に負担がかかり、突然脳卒中や心臓病の発作を起こす場合があります。また、病院にかかったことのない人が突然倒れることがありますが、原因が高血圧であることも少なくありません。
血圧が高いと言われたら、自覚症状がなくてもまずは受診しましょう。
高血圧の治療の必要があります。原因となる塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、アルコールの飲み過ぎ、ストレスなど日常生活の見直しを一緒に行いましょう!
高血圧の診断基準
分類 | 診察室血圧(mmHg) | 診察室血圧(mmHg) | ||||
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |||
正常血圧 | <120 | かつ | <80 | <115 | かつ | <75 |
正常高値血圧 | 120-129 | かつ | <80 | 115-124 | かつ | <75 |
高値血圧 | 130-139 | かつ/または | 80-89 | 125-134 | かつ/または | 75-84 |
Ⅰ高血圧 | 140-159 | かつ/または | 90-99 | 135-144 | かつ/または | 85-89 |
Ⅱ高血圧 | 160-179 | かつ/または | 100-109 | 145-159 | かつ/または | 90-99 |
Ⅲ高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 | ≧160 | かつ/または | ≧100 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 | かつ | <90 | ≧135 | かつ | <85 |
高血圧治療ガイドライン2019より
治療に向けて
1心臓と血管の負担軽減に努めましょう!
高血圧の状態を放っておくと、心臓は高い血圧に対抗して働くため負担がかかり、次第に機能が低下します。血管にも高い圧力がかかるため、血管壁が厚く硬くなるので動脈硬化を起こします。
その結果、心不全・腎臓病・脳卒中にかかりやすくなります。
2食事に気をつけましょう!
塩分を控え、栄養バランスのとれた食事を摂取し、アルコールを控えます。
肥満ぎみの人は減量にこころがけましょう!
当院では栄養指導も行っております。積極的に受けましょう!
3禁煙をしましょう!
喫煙は動脈硬化を引き起こす原因と言われています。
当院では禁煙外来を行っております。積極的に禁煙に取り組みましょう!
4運動をしましょう!
運動をするとその時は血圧が上がりますが、続けていると普段の血圧が低くなってきます(トレーニング効果)。体操・早起き・水泳・テニス・軽いジョギングなど無理なく続けていきましょう!
自分自身に合った運動を一緒に考えましょう!
5内服は容量、用法を守りましょう!
指示された用法・容量があります。 守らないと逆に低血圧になったり、血圧がいつまでも下がらない可能性もあります。
降圧目標
分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
75歳未満の成人 脳血管障害あり (両側側頭動脈狭窄や脳主幹動脈閉寒なし) 冠動脈疾患あり 慢性腎臓病(尿蛋白陽性) 糖尿病 抗血栓薬服用中 |
< 140/80 | < 125/75 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害 (両側側頭動脈狭窄や脳主幹動脈閉寒あり、または未評価) 冠動脈疾患あり 慢性腎臓病(尿蛋白陽性) |
< 140/80 | < 125/75 |
高血圧治療ガイドライン2019より
当院では降圧剤として主に「アンギオテンシン受容体拮抗薬」と「Ca拮抗薬」を使用しています。二者を併用しても目標値に達しない場合は症例毎に様々な試みが行われます。塩分摂取量が多い症例には塩分制限と利尿剤を追加します。
早朝高血圧には寝る前にα―blokerを追加します。
心臓超音波検査で心機能の良好な症例にはβ―blokerを使用します。
これらの試みにより、当院での降圧目標値達成率は80%となっております。
院長より
高血圧はなかなか症状が出ません。普段より血圧測定や規則正しい日常生活を送れるようにしましょう。